買主の能力と資格
契約前に確認を
マンションを売ろうとしたとき、買主があらわれて希望の売値で買うと意思表示をしたからといって安心するのは早いといえます。家やマンションを売る以上、その代金を回収しなければ意味が無いからです。
したがって契約を成立させる前に、なるべくなら取引の交渉が始まってすぐに買主の能力や資格を確認しておくことが大切です。
もしかしたら買主が、法律上の行為能力のない未成年者や禁治産者かもしれません。未成年者と取引するときには、法定代理人と契約するか、法定代理人による同意が必要になります。
禁治産者とは、自分の行為の結果について合理的な判断をする能力がないために自分自身、配偶者、いとこ以内の親族からの請求に基づいて家庭裁判所で禁治産者の宣言がなされた人のことを指します。
禁治産者は自分ではどのような契約も結ぶことはできず、結局は後見人が代理人として行うしかありません。
買主の代理人と取引するときは、代理権限を証明する書類を提出してもらわなければいけません。委任契約を結んでいる代理人の場合は、必ず委任状を見せてもらいましょう。何か不審な点があれば、じかに買主に問い合わせ確認することが大切です。
また準禁治産者とは心神耗弱者、浪費者など禁治産者の場合と同じように、一定の関係人からの申し立てにより、家庭裁判所で準禁治産者の宣言を受けた人のことです。
準禁治産者に家やマンションを売る場合、保佐人の同意が必要になります。保佐人とは一種の保護人で代理権はありません。
買主が法人の場合は、法人の登記簿によって法人格があるかどうかを調べて、代表者の処理権限の有無も確かめる必要があります。仮に登記簿に記載されてない幽霊会社などであれば、詐欺の可能性もあるからです。
あとで後悔しないためにも、前もって調べるようにしましょう。